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昔、あるところにとても優しい地主の娘が居ました。

娘はとても親切で、貧しい人々や身よりのない子供など、可哀想な人々に救いの手をさしのべました。

病気の老人には三日三晩寝ないで看病し、飢えている人には、惜しみなく食べ物を与えました。

娘は誰からも好かれ、そして、誰からも慕われていました。


娘の母は、それを快く思っていませんでした。

この母親と娘は血が繋がってはいません。
娘の本当の母親は、流行病で死んでしまったのです。
母は、娘と同じぐらい優しい人だったのですが、今の母親は自分の得になることしか考えておらず、欲の多い人でした。
ですから、娘のやることが、ひどく無駄で意味のないものに見えて仕方がありませんでした。

そんな継母の言うことなど聞かずに、娘は家にある銀の食器やろうそく立てなどをどんどん貧しい人に持っていきます。

継母は思いました。
いつか、この娘を追い出そう。
そして、この娘が配ったものを回収して、また、うちの中を豪華にしよう。
娘の父親はもうすぐ村のものを売りに町に行ってしまう。
その時に村から追い出して、家出をしたことにすればいい。

娘は母のそんな考えを知らずに毎日のように世話をしにいきました。

ある日、娘が水をくみに川へ行くと、一人の修士が木陰で休んでいました。

「どうしたんですか?」と彼女が尋ねると、
「空腹で疲れて、休んでいるのです。」と修士は答えました。

娘はそれを聞き、バスケットからパンとチーズを取り出しました。
「どうぞ、修士様。」
娘はパンを差し出しながら言いました。
「これは私の分のすべてなんです。
あとのパンは病気のおばあさんにあげるので、少し待っていただけるのでしたら、
家からもう少し食べ物を持って参ります。」

修士は尋ねました。
「貴方はお疲れのようですがいいのですか?貴方こそ休まなければいけないでしょうに。」

「いいえ、今にも天に召されようとしている方がいらっしゃるのに、何もせずにはしていられません」
娘は大きく首を横に振ります。

修士は微笑み、そして言いました。
「貴方のその想いが偽りでないのなら、この宝石をあげましょう」
それは透き通った琥珀色をしていました。

「この石を通した光には不思議な力があります。もし、貴方の心が神に通じたら、病気も、あるいは直るかもしれません。
しかし、もしも、醜い心でこれを使ったなら、その願いの代償として、大事な何かが奪われてしまいます。貴方なら大丈夫でしょう。
これは、パンとチーズ、それに親切にしていただいたお礼です。」

娘は素直に喜び、修士に何度もお礼を言いました。
「有り難うございます。これでたくさんの人を救えます。」と。
娘は急いで家に帰り、あるだけの食べ物をかき集めました。

継母は言いました。
「何をしているの、家のものをまたこんなに集めて。」
娘は先程あったことを包み隠さず継母に言いました。
そして、そのお礼の代わりに、何か食べ物を、と思ったのです。

継母は笑いました。
それはだまされたのさ。そう言えば食べ物がもらえると思って。
すべて食べ物を取り上げられた娘は、もう一度、せめてお礼を言おうと
修士の元へ行ったのですが、
もう、すでに姿はありませんでした。


娘は、修士にもらった石を、病気の老人にかざしました。
早く元気になって、長生きできますように。
娘はそう念じると、老人の顔色がぐんぐん良くなりました。

娘の持つ石の話は、瞬く間に広がりました。

継母は焦りました。
本当に力を持った石だったのか。
あの石を使ったら、もっと贅沢ができるのに。
あの娘は何でほかの奴らのために使うのだろう。
継母の焦りは、だんだん苛立ちに変わりました。
そして、娘が帰ってきたときに、その石を取り上げようと思いました。

何も知らない娘は、いつもの通り、表通りを通って、帰ってきます。
継母はドアのすぐそばで、娘が帰ってくるのを待ちかまえています。

娘は家のドアに手をかけ、開けました。
継母はぱっと手を伸ばし、黄色い石を取り上げました。
娘は取り返す間もないまま、継母は叫びました。

「遊んで暮らせるだけの、たくさんの金貨が欲しいわ!さあ、早く降らせてちょうだい。」

その瞬間、黄色い石は継母の手から放れ、二つに砕けました。
そのうちの片方が継母の体に触れると、継母の姿が消えてしまい、その代わりにたくさんの金貨が降ってきました。

そして、娘の足元には、元の通り、澄んだ水に写る黄昏の空のような黄色い石と、たった今流れ出た鮮やかな血のような、紅の石が転がりました。


「デザイア」の癒しの涙の物語より抜粋。
著者不明。

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